現在、控組杭式の岸壁などで使用されている鋼管杭は、載荷試験を行うことが困難な場合、通常、港湾構造物では、Meyerhofの静的支持力公式で設計されている。施工時における所要支持力の照査には、一般に杭の打込み記録より得られる Hiley公式などの動的支持力公式を用いて行われている。しかしながら、過去の報告にある通り、動的公式の信頼性は低いのが現状である。この理由として、杭の支持力として必要なものは静的な支持力であり、動的公式のように数tonのハンマーを落下させて、2~3cmの沈下で貫入していく瞬間での力学的バランスから算出したものとを同列に並べること自体に無理があるからである。また、この場合、動的公式は杭の打込み中の支持力を表わすため、打込み後の支持力変化を予測できない。しかし、実際問題として現場での施工管理は動的公式に頼らざるを得ない。さらに、Meyerhof式にしても鋼管杭に適用する場合、杭先端が完全閉塞しているときに成り立つとされており、大きな口径の杭で先端閉塞効果が十分に発揮されないときは、予想したよりもはるかに小さな先端支持力しか得られないことがある。本報文では、現在施工中の函館港西ふ頭建設工事を例にとり、当該地区のような火山灰質層が卓越している地盤における鋼管杭の支持力特性を評価することを目的として、①静的公式と動的公式の相関性、②打込み後に支持力が増大する時間的効果、③鋼管先端部に取り付けた十字リブの効果について考察を行うものである。 |