道路整備の進展にともない地すべり地帯における道路築造が増してきており、地すべり地の複雑な地形や地盤条件、あるいは様々な規模や形態などに応じて崩壊防止のための種々の対策工が実施されている。その対策工の1つに地すべり抑止杭があり、最近とみに採用実績が多くなってきており、さらに地すべり地における橋梁などの構造物基礎の築造も増加の傾向にある。しかし、地すべり対策としての抑止杭や構造物の設計法については、地すべり形態が複雑多岐であるため不明な部分が多いこと、また歴史的にも日が浅いため調査データも少ないなど、種々の事情から設計法も多々提案されているが、各設計法間には整合性に欠ける面が見られる。特に構造細目については、特定した指針的なものが見当らないため不整合が生じており、この様なことから確たる設計法が確立されていないと云える。このため、地すべり現象の様々な要因を考えるとき、短期間の調査研究では解決が難しい間題と考えられるが、施工実績の利用及び類似する基礎の設計法などの応用、さらに現場計測あるいは室内実験などを通じ、地すべり対策工設計と地すべり地帯における構造物等の設計法について整理し、『地すべり対策工指針』の整備に資することを目的としている。 |