最近では、道路が山岳地帯など落石危険地帯を通る場合が少なくない。しかも北海道のように道路密度の小さい地域では、一度災害を受け道路交通が止まると適当な迂回路が無いなどの理由により社会的、経済的影響は大きい。このため、道路交通の安全を確保するため覆道などの落石防護工が計画・施工されてきている。しかしながら覆道の設計については、一応の基準はあるものの、特に衝撃を受ける覆道の構造設計については、ほとんど触れられていない。現在、覆道の構造設計は、衝撃荷重を静的荷重に置き換えて行われている。しかし、衝撃を受ける鉄筋コンクリート構造物は静荷重の場合とは異なる応答が生じるため、現在の設計方法は適切とはいいがたい。また、覆道などは設計荷重より大きな落石や繰返し落石を受けた場合でも壊滅的な破壊をせず、いくらかの耐荷力が残る構造物である事が望ましい。このような構造物の設計方法を検討するため静荷重を受ける場合と衝撃荷重を受ける場合とでは、どのように破壊荷重やその状況が異なるか鉄筋コンクリート版(以下RC版)を用いて耐衝撃性について研究しているところである。本文は、現在行っている実験の今まで行った段階での中間報告であり、特に衝撃を受けたRC版の破壊形状などを中心に報告する。 |