昭和56年8月に起きた2度の洪水は北海道に大きな爪跡を残した。特に札幌においては8/3~8/6には総雨量294mmという総雨量既応最大洪水となり、石狩川が計画高水位を突破し、茨戸川、伏籠川等の水位上昇のため流域一帯は広範囲にわたって浸水被害を受けだ。又、8/22~23は総雨量229mm、日雨量207 mmという日雨量既応最大洪水が札幌を中心に降り豊平川においては最大流量として1,400t/secが流れだ。そのため、1回目の洪水で石狩放水路を緊急に通水し、2回目の洪水においても通水するという、まさに、豊平川、茨戸川流域にとって史上最大の洪水となった。この洪水は、治水・利水と並んで河川の三要素をなす環境に対しても水生生物の流出、堆積による生産の破壊、高水敷の植生の破壊、河床堆積物の巻上等による水質の悪化等、大きな影響を与えるものであり、河川環境の管理にあたってその量を知ることには重要な意味があるといえる。本報告は河川環境に注目し、都市部の自然空間として親水機能も高い豊平川及び茨戸川を対象として洪水の前後での環境状態の比較をすることによって、昭和56年8月洪水が河川環境に与えた変化の大きさとその回復の過程、速度からその影響量について考察したものである。 |