戦後の民間航空再開から30年が経過した。再開された当初から航空輸送は、旅客輸送を対象に行なわれており、貨物輸送はわずかに緊急性を有する郵便物等の輸送に限られ、航空輸送の中では副産物的なものと見なされていた。しかし、経済成長とこれに伴う物流の大幅な増大によって、特に国際線においては、貨物専用機(フレーター機)が就航したり、航空貨物専用輸送会社(例えばフライングタイガー社)が設立されるなど、航空貨物輸送が貿易上重要な輸送機関とみなされるようになった。しかし、国内輸送では貨物専用機による輸送はなく、航空機の腹部(ベリー)を利用して輸送されており、未だに旅客中心の運航計画がとられている。このことは、航空会社の収入の中で、旅客輸送が約93%を占めているのに対し、貨物輸送は3.4%程度しか占めていないことからもうかがえる。しかし、航空機のもつ迅速性、確実性、安全性というメリットは、航空貨物についてもいかんなく発揮され、輸送量は大輻な増加を示している。本稿では、この航空貨物流動の変遷とその発展要因について考察を加え、また北海道における航空貨物の利用実態と利用者の意識調査から道内の航空貨物の利用特性について分析を行なう。 |