苫小牧地方は、樽前山の南東、太平洋岸にのびる火山灰地と勇払原野の湿原よりなっており、従来から土木工事での採取土は大部分が火由灰土を堀削、運搬して工事を実施してきたが、大規模工事の実施となると大量の土が必要となり、土取場の環境問題も含めて土取場の確保が年々困難になりつつある。このため、赤泥などの産業廃棄物の有効利用の検討が必要になってきた。"改良赤土"は、ボーキサイトからアルミニウムを抽出する過程で産出される"赤泥"に、セメントミルクを注入し、 高圧で圧搾脱水して作られるものである。この"赤泥"は、粒径0.017rtM程度以下の細粒土を主成分とするシルト質粘土で、スラリー状に産出され、沈澱池を作って投棄沈澱させるなどの処理がなされているが、環境公害上の問題や、投棄処理地の確保が困難なこともあり、今日では社会問題になりつつある。このような"赤泥"を土木材料に活用すべく、関係者が研究を進めた結果、"赤泥"にセメントミルクを混合することにより開発されたものが"改良赤土"であり、道路盛土材として今回、試験盛土をするまでに至った。なお"改良赤土"は、一般的な名称ではないが、改良された"赤土"と云う意味で"改良赤土"と仮称する。昭和56年度に、一般国道36号苫小牧市樽前地区の改良工事において、盛土用土として一部試験盛土を実施した。本報告は、この"改良赤土"を用いた道路盛土の、主として施工性について述べるものである。 |