道路建設に伴う法面緑化は、これまで法面保護や防風雪対策等道路施設としての機能を確保する目的で行われてきた。しかし、早期緑化に適した外来の草本類などを多用してきたため、帰化植物の自然植生への侵入など自然環境への影響が指摘されている。よって、最近では在来の生態系保全の立場から、在来植生の導入を目的として表土や根茎を活用する等、周辺の自然環境に負荷を与えない緑化方法が検討されている。一方で、これら自然再生を目的とした緑化方法は、従来のものと比べ法面の早期安定性に劣る恐れや自然再生方法そのものの知見が未だに少ないといった課題もある。現在整備中の日高自動車道では、在来植物の保全復元に主眼をおき、道路造成工事により採取した表土、及び木本類(落葉樹の稚樹・根株)、草本類を道路法面に再利用し、在来種による道路法面緑化を目的とした試験移植を平成13年度より行い、その可能性を検討している。これまでの報告では、①表土の自生種緑化基盤としての有効性、②チップマルチによる外来種抑制の効果、③道路法面を想定した人工斜面における土砂の安定性を確認した。本報文は、昨年度に引き続き、在来種試験移植の追跡調査結果について述べるとともに、実際の道路法面への移植試験施工の概要について報告するものである。加えて、今年度より自然植生工法の1つとして、地元住民のボランティアとの共働による生態学的混播法を用いた植生工導入の検討についても併せて述べるものである。 |