遠別漁港は、建設当初より漂砂による港内埋没現象が問題になっていた。近年その傾向が顕著になり、漁船の入出港等の漁業活動に支障をきたすようになってきた。遠別漁港では南防波堤及び島防波堤が平成5年12月までに建設された。その後西防波堤の建設とともに港内堆砂が激しくなったため、漂砂流入を防ぐため平成10年8月に仮設堤が建設された。しかし、その後も漂砂流入が続いていた。平成8年2月を基準とした港内地形変化量の経年変化を、港口近くの領域と港内全域をみると、平成8年6月以降港内は堆砂傾向にあることがわかる。平成11年8月以降港口近くの領域ではあまり変化していないが港内全域では増加しており港奥への堆砂をうかがわせる。砂浜域に位置する中小規模の港では、港口部が砕波点近傍やそれより浅い水深にあることが多く、浮遊砂の港内への流入・堆砂が大きな問題になっている。また、近年漂砂現象への長周期流動の寄与を指摘する報告もある(松岡ら、1991)。そこで、本報告では既往資料の整理と現地観測によって遠別漁港の漂砂特性を長周期波との関連から明らかにした。さらに、現地の漂砂特性を反映した数値モデルを構築し、漂砂対策として効果的な外郭施設配置について検討した。 |