積雪寒冷な地域では、冬期における恒常的に降積雪や雪氷路面の出現などにより、道路交通機能が著しく低下する。冬期における道路交通機能の確保が非常に重要な課題であるが、この課題に取り組むためには、冬期における道路交通特性を定量的に把握し、また、除雪や排雪等の各種対策の効果を定量的に把握することが必要である。冬期における代表的な道路交通調査としては冬期道路交通センサスがあるが、数年に一度の調査で調査日数、調査地点数ともに限られており、既往の調査手法だけでは冬期における交通特性を定量的に把握することが困難である。当研究所では、かかる課題への取り組みの端緒として、札幌市内を走行するタクシー115台の走行データ(GPSデータ)をプローブカーデータとして利用し、札幌市における冬期の道路交通特性を定量的に把握することを試みている。本稿は、冬期道路交通特性を把握するための調査手法についてレビューを行うとともに、平成13年度に取得されたタクシーの走行データから札幌市の平均旅行速度の推移を日別に求め、夏期と冬期における平均旅行速度の低下及び気象条件が冬期における平均旅行速度の低下に及ぼす影響について分析を行った結果を報告するものである。 |