近年、公共事業ではコスト縮減・環境負荷軽減が特に重要視されており、用水路整備においても例外ではない。用水路整備では、老朽化程度が軽度なものについては全面改修せずに内面補修を施せば、コスト縮減・長寿命化・環境負荷軽減という命題を果たすことができると考えられる。昨今、水路内面補修工法は数多く開発されているが、その中の一つであるポリウレタン無溶剤型二液塗料(以下、「ポリウレタン塗料」という。)は、新技術情報システム(NETIS)にも登録されているコンクリート水路補修工法であり、土木研究所農業土木研究室においてコンクリートの凍結融解の耐久性向上が確認されている工法である。同工法には、以下の特徴がある。・3mm程度の超厚塗りも一度で行える。・速乾性に優れ養生期間を短縮できる。・低温時にも伸縮性が優れている。・衝撃性・対摩耗性に優れている。・塗膜の摩擦抵抗が小さい。北海道のような積雪寒冷地域では、時季により補修の施工費が大きく変動することを踏まえると、ポリウレタン塗料による補修工法は速乾性に優れていることによる工期の短縮、厚塗りが可能であり、伸縮性に優れていること及び耐衝撃性・耐摩耗性に優れていることから、様々な形状・状態の水路補修に応用することができると考えられる。また、ポリウレタン塗料は比較的低コストで施工できるという利点もある。このことから、ポリウレタン塗料は水路内面補修材料として非常に有用なものであると判断できる。ポリウレタン塗料を用いた用水路の補修は、本州における施工実績は多いが、北海道内における施工実績は少ない状況である。今回平成14年12月に道央地区の南長沼幹線用水路の下流部L型ブロック区間(9m)において、冬期施工を行っており、その結果を報告するものである。 |