北海道は気象学的には亜寒帯と温帯の漸移帯に属し、地質学上は道央低平地帯を境にして、本州と異質な区分がされており、このことが大なり小なり、河川形状や、河川環境に影響を与え本州との差異を生じさせている。道内河川の年間総流出量の50%前後が融雪時期の4~6月に集中し、天然ダムの役割をはたし、利水計画上は水収支期間を一年単位としている半面、流域表土が緑で保護される前に表面流出により有機質、無機質の物質が河川に流出する等河川環境上マイナスの面も持っている。また、道内に亜寒帯特有の泥炭が広く分布しているが、これは、地質学上の北海道形成過程と第四期の氷河期と氷間期の海進退にも起因しており、このことが道内河川の低こう配、蛙行河川形状を形成させており水質にも影響している。道内一級河川の水質は流域内開発が本州等に比べ進んでいないことから、一般的には良好なものと考えられており北海道開発局の調査結果によれば、水質基準はおおむねクリヤーされている。しかし、CODについては以前からこれと同一指標であるBODや、また本州等のCODと比べ、高い傾向にあることが指摘され、その原因についての解明が急がれている。そのような状況下で、既設直轄多目的ダムの水質調査結果を調べていくなかで、CODも特異であるが、貯永池の経年挙動についても道内ダム湖は、本州等に比べ特異であることが分ってきた。本論文ではこの点を中心に本州等ダム湖との比較と、道内ダム湖の現状とについて論ずる。 |