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 札内川扇状地の地下水構造について

作成年度 1984年度
論文名 札内川扇状地の地下水構造について
論文名(和訳)
論文副題 昭和58年度(D-28)
発表会 昭和58年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和58年度技術研究発表会
発表年月日 1984/09/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
芳賀敏二
一関祐次
抄録
札内川ダムは、十勝川水系札内川上流、河西郡中札内村に建設予定の建設省直轄の多目的ダムである。札内川ダムの建設される札内川は十勝川の三大支川の一つで流域面積725km2、流路延長82㎞を擁し、その源を日高山脈札内岳(標高1,895㎞)に発し山間部を縫流し十勝平野に出た後帯広市付近で十勝川本流と合流する。十勝平野はいわゆる沖積平野ではなく、新旧の扇状地群の複合したものである。特に、札内川の流路である札内川扇状地は光地園礫層をはじめ数次にわたる日商山脈から供給された大量の磯が堆積している。このため札内川は十勝平野への出口にあたる中札内村周辺では、渇水期になると表流水がこれらの磯の下に伏流し、表流水が全く無くなることがある。札内川の語源であるアイヌ語の"サツ・ナイ"とは渇く川という意味である。伏流した表流水は。扇状地内に発する小河川の湧水源になるとともに、札内川扇状地の地下水涌養源となっている。札内川扇状地に位置する中札内村では地下水利用が古くから行われておリ、これは、昭和51年に札内川右岸に中札内地区営農用水、昭和56年に中島地区営農用水が導入された後でも変らず、中札内村の約280戸の農家戸数のうち130戸の農家で営農用水と併用して地下水利用が行われ、10戸の農家では用水を地下水のみに頼っている。一方、最近札内川扇状地の地下水位は低下する傾向にあり、地下水利用者は井戸水の枯れや井戸の追掘に直面している。地元では、地下水位の低下は札内川表流水の水位低下、つまリ水量の減少や河床低下と密接な関連があると考えられてる。昭和56年から札内川ダムの実施計画調査が開始され、同時に札内川ダムを水源とする十勝中部広域水道企業団の取水地点がダム下流6㎞の札内川扇状地の扇頭に位置する札内川第一砂防ダム付近であることが明らかになると、地元住民を中心に新規用水取水に伴う河川流量の減が地下水位の低下を招くのではないかという懸念が表明された。札内川扇状地の地下水帯水層構造については、昭和50年前後より帯広開発建設部によって資料の収集が始められ、基盤の地質構造、地下水位の状況について貴重な資料が得られている。札内川ダム調査事業所では、これらの資料を基に北大理学部中尾教授の助言をうけ地下構造に対する物理深査、地下水位観測を行い地下水帯水層構造を明らかにするとともに、表流水の伏流、地下水涵養を踏まえて札内川ダム義務放流量の検討を行っているのでここに紹介する。
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