積雪寒冷地域において冬期間の氷結路面等のすべり止め用として使用されているスパイクタイヤは、1950年代末から1960年代初めにかけて欧米諸国で使用され始め、我が国でも1960年代に導入されて以来急速な普及をみせている。このスパイクタイヤの普及に伴い、道路舗装の磨耗が著しくなり、道路の維持管理上大きな課題となっているとともに、区画線の消失やわだちぼれによる走行安定性上の問題など交通安全面における影響も懸念されている。また、特に近年、積雪寒冷地域の都市においては、粉じん等による環境への影響も大きな問題となっている。スバイクタイヤの装着率は、最近では北海道で90%を超え、特に乗用車では100%近く、大型車で約75%となっており、道路管理者としても、その対応策の早急な取り組みが必要となってきた。このような背景から、北海道開発局においては、昭和56年に、本局道路計画課、道路建設課、道路維持課と土木試験所、札幌開発建設部の道路技術者からなる「舖装摩耗対策技術研究会」を発足させ、その成果を道路の維持・管理や交通安全の確保に資することを目的として、スバイクタイヤによる舗装の摩耗・破損状況等の基本的な実態を把握し、舖装技術面からの対応策等ハードな面からの検討を行うとともに、スバイクタイヤ使用の適性化の方向を探るなどソフトな面からの検討も行ってきたものである。 |