本調査は、余市地区におけるかん水の効果について多角的に検討し、かんがい技術や、かんがい施設の計画に基礎的資料を提供する目的で行われたものである。その中でも特に、本道のような冷温地帯では、かん水による熱的影響が作物(果木)に対してどのように作用するかは重要な問題になる。しかしながら、果樹、畑作物等に対するかん水温(散水量)の影響は、水田のそれに比べて追跡調査例が極めて少く、未だ不明確な点が多いのが実情である。したがって、昭和57~58年の2ヵ年に亘って散水による地温や業温等の熱的環境変化について実測調査を実施し、余市地区における傾向把握を行うこととなった。しかし、数回の実測だけでは、熱的環境を取り巻く諸因子があまりにも複数であるため、一般的事象と特殊事象の区別がつかない危険性があるので、熱収支理論から本地区への適応が可能な熱収支式を求め、これを利用して各種の想定に基いた熱収支シミュレーションを行い、実測だけでは把握しきれない熱的環境の変化を再現するものとした。尚散水による熱的影響は、5~6月の春期に最も大きいものと予想される為、今回の試験では6月のデーター採取を中心に行った。熱収支解析にあたっては、白井氏の理論に基き、差分法によって電算シミュレーションを行った。 |