石狩川では、暫定断面による連続堤の整備が概ね終了し、完成断面による堤防整備が進められている。しかし昭和50年、56年の洪水では、ぼん水といった堤防の大きさの未整備に起因する堤防被害は減少してきているが、漏水、法スベリといった堤体の質的条件に左右される被害が多く見られ、堤体条件と堤防安全度の関係を把握する重要性がクローズアップされてきている。昭和50年洪水を契機として漏水調査が昭和52年から55年にかけて実施され、漏水に対する堤防安全度評価方法が開発された。昭和56年8月に洪水が発生し、石狩川流域では堤防被害が多発した。これに対して堤防被災状況の把握を目的とした調査が昨年度実施されている。この調査によって56年8月洪水では堤防法スベリが多発したのが特徴的であることが明らかにされ、漏水と同様に法スベリの原因追求とそれに基づいた法すべりに対する堤防安全度評価方法の開発も求められている。本調査は昨年度実施された56年度8月洪水に対する洪水被災調査と今年度実施した補足調査に基づいて、法スベリの発生要因を明らかにし、法スベリに対する堤防安全度評価方法について検討を行う。さらに法スベリと漏水に対する2つの堤防安全度評価方法の評価要因の相関等を解析することで堤防総合安全度評価方法の確立を図るものである。 |