河川改修の進展に伴い外水浸水被害は顕著に減少してきているが、人口・資産の増大、堤防整備等により内水浸水被害は増加傾向にある。内水浸水被害の大きさは、内水地区の資産とそれに対応する湛水深・湛水時間で決まるが、内水の湛水深と湛水時間は本川洪水と内水流出の規模、パターンと組合わせによって様々に変わる。本川洪水と内水流出との組合せの確率は二変数複合確立であるが、そのまま評価するには種々の難点があるため従来の内水排除計画においては・計画対象内水として主要実績洪水等を選定する。・年平均被害期待額を算定するための確立評価には内水域降雨の短確立を用いる。ことにより経済効果分析を併せて行ない最適ポンプ規模を決定している。しかし、従来の手法では本川洪水の確立評価を行なっていないため、年平均被害期待額が過小または過大評価される危険性がある。この問題を解決するため本研究では内水と外水の複合生起確率を評価することにより経済効果分析を行なうこととし、・計画対象内水として計画洪水を選定する。・計画対象内水パターンとして、代表洪水パターンを1つ選定する。・計画対象内水は本川洪水と内水流出の様々な規模と組合せのものとする。・本川洪水規模を代表する流域全体の流域平均3日雨量と内水流出規模を代表する内水域3日雨量との複合確率を用いて年平均被害期待額を算定する。こととした。本研究では、昭和55年度に内水排除計画が検討されている「幌向太地区」におけるケーススタディをもとに、内外水複合確率を用いた経済効果分析の必要性と実用性を明らかにするものである。 |