積雪は流域を貯水池とする雄大な貯留現象であり、積雪河川においては水資源計画、水管理上の非常に重要な要素である。この積雪水資源は4~5月にその大半が融雪し、流出量は年間流出量の40%強に達する河川が多い。したがって、融雪遅延策の研究が将来の大きな話題となるものと思われるが当面人工貯水池、すなわちダムによる融雪流出の適切な制御が重要な課題である。このためには融雪流出を的確に把握・予測する必要がある。特に融雪期の中・後期に降雨と重なった融雪洪水の調節と有効貯水をにらんだダム制御においては、流域の残雪状況すなわち雪線位置が重要な情報である。残雪域の把握については、近年ランドサットデータの利用研究が進み、実用化しつつあるが、衛星の周期、分解能、天候とのタイミングの問題などがあり、ダム流域のような山地、かつ小流域において有効な情報を得る確率はきわめて小さい実態にあり、航空写真の有効性は依然として高いと思われる。本文は、豊平川の豊平峡ダム流域において、昭和55年及び57年の融雪期に撮影された航空写真を用いて、雪線の実態を明らかにし、その推移特性と気象因子地形特性との関係を検討するとともに、ランドサットデータの1例と比較した結果を報告する。 |