昭和56年度の「苫小牧東港海域の漂砂について」では、改訂勾配の物理的な性質(粒度組成・鉱物組成)をもとに、クラスター分析及びX線回折試験により底質の地域的な分布状況を分析し、1)苫小牧東港海域の底質粒度の地域的な分布には、経年的な変化はなくほぼ一定のパターンを示していること、2)その分布パターンをみると、水深-10m以浅には粒径の小さい粒度のそろった底質が分布していることから、この範囲の底質は波(破波現象)の作用を受け、よく淘汰されていること、3)また、鉱物組成の地域的な分布状況から、この海域の沿岸漂砂は西向きで水深-10m以浅に主に生じていること、等を明らかにした。今年度は、以上の検討結果を踏まえ、特に波の作用を受けており、沿岸流による沿岸漂砂も卓越していると思われる水深-10m以浅の海底地形に着目することとした。そして、この範囲の海底地形変化について、最近注目されている経験的固有関数(Empirical eigenfunction)により統計的な解析を行った。そこで本文では、この経験的固有関数による海底地形変化の解析方法を紹介するとともに、苫小牧東港海域の海底地形変化について、この方法を用いて解析した結果を報告するものである。 |