波浪観測手法には種種あるが、直接観測手法の代表的一法としてのステップ式波高計は広く知られるところである。この方式は、進行波のほか衝突波、越波観測も可能であるといった他方式では得難い特長を有するもので、その基本的原理は早くから知られていた。一方、その具体化には多くの隘路があり本格的実用には遅れがあったが、リレー型の開発を契機として急速に進展した。以来、各地の観測に供されるとともに改良整備もすすみ、さらに最近ではソフトウェア導入、による機能充足がはかられるようになった。しかしながら、これまでに実現しているものは、いずれも測定対象水域の電気伝導度(以下、電導度と記述する)が観測中において一様であり変動しないということを条件としている。このため、全体構成の簡易化、軽量化などで汎用性が向上しつつあるものの多様化する観測需用に必らずしも十分に対応し得ない。こうしたことから、この方式の従来からの制限条件であった電導度の変動について検討をすすめた。この結果、電極部汚染問題の根本的解消をはかった白金線電極型波高桿の改良型とマイクロコンピューターを組合せ、電導度変動水域における表面波形測定、さらには、塩水くさび状態における表面と下層界面部波形の同時測定手法を開発した。このような機能はステヅプ式の新たな機能であり、ここにその概要を報告し、関係諸氏の参考に資する資第である。 |