昔から人間に必要なのは「衣、食、住」とされていた。現代は更に交通を加え「衣、食、住、交」としなければ社会生活を営むのは困難である。交通の起源は原始時代、人は生きるため食物を得るのに山野を歩き回っていた。また冬期期間食物を得られない時期に一定の場所に食物を運び貯蔵するようになった。これを人と物の移動の嚆矢とする。近年、陸、海、空の公共交通機関の技術工学的発展は目覚しいものがある。しかしながら個々の交通機関の接点は必ずしも機能的とは言い難く、特に移動制約者達は交通機関、施設の機能停止した場合ならまだしも、個人、自らの身体的能力によって、その機関は運行しているにもかかわらず利用できないことは都市機能を十分利用できず、日常生活に支障をきたすばかりか、社会から隔離され、生存権もおびやかされる現状にある。移動制約者には恒久的と一時的なものに大別され、前者はいわゆる身体障害者福祉法にもとづく身体障害者と老人である。後者は一時的な病気、怪我、妊産婦などが該当する。これらの移動制約者は全人口の10%以上あるとされ、また、誰しも一生を通じて遭遇するものであり一部の問題と見過ごすことはできない・このようなことから本文は札幌市において移動制約者の交通実態調査を行った結果をもとに道路の問題点を述べるものである。 |