国営総合農地防災事業網走川上流地区は、網走郡津別町及び美幌町の2町にまたがる4,190haの畑地帯を受益地とし、排水路20条(総延長75km)を対象に下流部への土砂流出抑制のための各種整備を行うものである。本地区は、農地の大部分が土壌侵食を受けやすい火山灰性土壌で占められており、降雨・融雪出水に起因する農地からの流出土砂及び排水路の法面崩壊等により排水路内に土砂が堆積し、排水機能の低下を招き、農地が浸水、過湿被害を受け、作物の生育阻害など不安定な経営を強いられている。このため、農業用排水施設の整備を行い農業経営の安定化を図るとともに、農地から排水路への土砂流出抑制、幅広水路工等に堆積した肥沃な流出土砂を農地に還元するなど持続的な農業を目指すものである。対策施設は、排水路本線に沈砂池機能を持たせた「幅広水路工」、支線排水路から排水路本線へ合流する直前で土砂を堆積させる「流入対策工」、及び農地から排水路へ流出する土砂を抑制する「排水路保護工」であり、これらの対策施設については第1報~第3報で紹介してきた。第4報では、各対策施設及び排水路下流端の土砂流下量のモニタリングを実施し、土砂流出に対する事業効果の検証について報告する。 |