日本の人工林の多くが既に間伐期を迎えているなか、緊急間伐総合対策が立案され、健全で多面的な機能を発揮する森林の育成のために「緊急間伐5ヶ年計画」が推進されている。このような背景を受け、間伐材の有効利用法の開発が急務となっている。一方、自然環境に負荷の少ない材料として木材が注目を浴びるようになり、治山事業、農業・農村整備事業などにおける土木資材としての用途に期待が寄せられている。北海道においては、主にカラマツ間伐材がこれらの用途に利用されているが、その場合の耐朽性に関する資料は少ない。また、木製土木構造物を設計する際の従来の安定計算方法では、部材の初期強度のみを基準として、部材や構造物の耐力の経年変化は考慮されていない。間伐材の供給・利用、またそれらを用いた木製構造物の補修・更新を計画する上でも、土木構造物用途での木材の耐朽性・耐用年数を予測することにより汎用性を与え、用途の拡大につなげる必要がある。そこで、「耐久性(腐朽)」という抽象的なものを「強度」という具体的な性能に置きかえることによって耐久性の指標を明確にし、腐朽による強度低下を考慮した木製土木構造物の設計方法を提示することを目的とした研究を行った。すなわち、カラマツ間伐材を用いた土木構造物において、部材の経時的な強度低下、さらには構造物としての耐力の経年変化を推定し、用途ごとに構造物の耐用限界を判断するための指標を明らかにするための検討を行った。 |