近年、地球規模での環境問題が国際的課題として取り上げられており、「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」で採択された京都議定書の批准を平成16年11月にロシアが決定したことで、その発効に大きく進むこととなった。京都議定書では、我が国は温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減とすることが義務づけられており、産業分野における二酸化炭素排出量の約3分の1を占める建築関連分野においても、その削減が大きな課題となっている。北海道における二酸化炭素排出量の伸び率は14.3%、一人あたりの排出量は3.90t-Cと全国に比べ多く、地球温暖化防止への取り組みが一層求められている。外断熱に代表される高断熱建物は、温度むらのない快適な室内環境を創出するばかりでなく、空調消費エネルギーの削減、LCC,LCCO2の削減の効果が明らかにされてきており、地球環境的視点からも優れた建築手法であると考えられる。また、高断熱建物における空調負荷は、断熱性能の向上により外気負荷の占める割合が大きくなり、外気負荷の抑制が重要となる。本研究は、高断熱建物において有効とされる全熱交換器による排熱回収効果と外気導入量制御による外気負荷低減技術の効果について、運用段階の年間のエネルギー消費量の実測結果から、その有効性について検討する。 |