ダム貯水池の水環境は上流域から流入する汚濁負荷と、気象・水理条件により大きく影響を受ける場合がある。北海道芦別市と富良野市にまたがる滝里ダムは1999年に完成した多目的ダムで、洪水調節と発電、上水道の供給を目的としている。このダムでは、2002年と2003年に連続してカビ臭が発生しており、利用者からの苦情が寄せられている。滝里ダム貯水池で発生したカビ臭は、ダム管理所により、藍藻類が主な原因であることが推定されている。一般的にカビ臭の原因としては、藍藻類や放線菌が異常発生または増殖し、これら一部の藍藻類や放線菌が生成する2-メチルイソボルネオール(以下2-MIBと略)、ジェオスミンという物質が原因であることが確認されている。滝里ダムにおいても2002年に2-MIB、2003年に2-MIBとジェオスミンの両方のカビ臭が発生している。しかしながら、滝里ダムにおけるカビ臭の発生要因については依然不明な点が多い。本報告では、既往調査資料などからダム貯水池の水環境の変遷について情報を収集し、滝里ダムにおける水環境の形成要因について概略的に整理した。また、滝里ダムにおける湖水、水温、濁質の挙動を把握するため鉛直二次元モデルを作成し、計算を試みた。 |