石狩川の支川である幾春別川は、空知地方の三笠市に位置する桂沢湖上流に端を発し、岩見沢市街を流下後、北村において石狩川(KP43.5)に注ぐ流域面積332.0km2、流路延長58.8㎞の1級河川である。幾春別川では、明治42年までサケが遡上していたとの記録が残っているが、その後は採炭等の影響からサケ遡上の記録は残っていなかった。しかし、昭和62年から河川の愛護活動や情操教育の一環として、地元の小学校や市民団体等によりサケ稚魚の飼育・放流活動が実施され、平成3年にサケの回帰が確認されて以降、現在まで継続して回帰が確認されている。今回、調査を実施した川向頭首工は、幾春別川のKP17.1に位置し、農業用取水を目的として明治39年に完成、昭和56年度の改築工事を経て現在に至っているが、既存の固定落差(非灌漑期)が2.75m、灌漑期にはゲート高が加わり7.65mとなる落差があるため、魚類の遡上障害施設となっていた(図1,2)。幾春別川は、平成6年度に「魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業」の指定を受け、川向頭首工については平成16年3月に魚道が完成したものである。本文は川向頭首工魚道の概要と、現段階における事後調査の結果について述べるものである。 |