平成12年の有珠山噴火、平成15年の日高・十勝を襲った豪雨災害や十勝沖地震災害、そして昨年度日本各地で発生した洪水や土砂災害等、近年多発する自然災害を踏まえて改めて確認された教訓の中で、防災上きわめて重要なものに、①自然の外力は施設の能力を超える可能性が常にあること②人的被害を最小限にするためには地域住民自らの危機意識、災害の認識が非常に重要であるという2点が挙げられる。このことは、国土交通省社会資本整備審議会河川分科会の中に設置された、「総合的な豪雨対策についての緊急提言(平成16年12月2日)」においても触れられており、また火山防災の分野では「減災のテトラへドロン」として、「行政も科学者もマスメディアも、災害の主人公となりうる住民の自覚と行動を底辺から強力に支援する必要がある」(火山噴火と災害(宇井忠英他1997))などと表現され、さらに端的には「火山防災はかけ算である。科学者や行政、マスコミ等が100点の出来であっても、肝心の住民が0点であれば、結果はゼロにしかならない」ということも言われている。本稿は、上記のような認識に基づき、室蘭開建が地域社会を構成する様々な組織や個人と協力しながら進めている火山防災啓発活動についてその概要を報告するとともに、期待される効果や今後の課題、発展の可能性等について考察を加えて述べるものである。 |