北海道の全面積のおおよそ半分は火山灰でおおわれている。積雪寒冷地としての北海道では、一般に土木工事に際して火山灰は、良質の盛土材料あるいは凍上抑制層材料などの砂に近い感じで受けとられる事が多い。これらの火山灰が噴出降下推積された時代は、第四紀(現代~200万年前)の沖積世(現代~1万年前)のうちで現代から2000年前位の間とみられている。また、これらは未だ風化のほとんど進んでいない火山灰といわれている。これに対して、凍結融解による、のり面崩落の激しいローム質土や切盛土の施行時に湿地用ブルドーザが身動き出来なくなるほど、トラフィカビリティの確保が困難な高含水比の火山灰性粘土は、切盛土の変化率(C)が0.6程度にも低下し、盛土施工の翌年に路肩で20cm近くの況下するような圧縮性の大きい、風化の進んだ不良土である場合が多い。このような火山灰性土を土質分類すると、礫(GS)やシルト質土(SM)などになり、この分類からは良質土であるかのような誤解を受けやすい。また、これらの火山灰が噴出降下推積された時代は、沖積世後半から洪積世(1万~200万年前)であるとみられている。このように火山灰は、土工上両極端な性質を持ち得る土でありながら、見かけやボーリング成果あるいは、一般的な土質試験結果のみでは、その風化程度と、これに対応した土の工学的性質を推定する事が困難なことがきわめて多い。ここでは、見かけ上風化程度の異なる北海道内の代表的な火山灰を対象に、土工との関連における風化度と工学的性質について行った実験的研究の、中間成果を報告する。 |