現在、橋梁の床版型式には大別して鉄筋コンクリート床版と鋼床版とがある。鉄筋コンクリート床版は広く一般的に用いられているが、鋼床版は比較的新しい構造様式のため、構造特性の点から現在は長大橋梁や他の特殊な場合にのみ用いられており、一般橋梁の普及については今一歩のところがある。しかし、最近鋼床版の経済設計、鋼床版構成部材の規格化へ向けての研究が盛んに行なわれており、元来High-costになるとして特別の場合にしか用いられてこなかった鋼床版も今後増々普及していく傾向にあると言える.鋼床版については、構造様式からくる終局的耐荷力の大きさが実験的に保証され、解析理論についても各種の方法が提案されている。一方、鋼床版の添接の問題、局部応力の問題が現在の大きな課題となっている。つまり、鋼床版は単に鋼床版だけでなく、舗装との合成体としてしようされているのが現実のため、鋼床版に発生する過大な局部変形、応力に対し、その舗装が追随せず舗装にクラックが発生するという問題である。以上のような鋼床版のもつ問題点の追求のため、本試験においては実橋における実働荷重下の鋼床版(リブ、デッキプレートなど)の変形、応力特性について調査することを目的とした。 |