多目的ダム計画において利水計画を検討する場合、ダムサイトにおける10年オーダーの日流量資料が必要となる。しかし一般的にダムサイトでの流量観測は予備調査あるいは実施調査に移ってからの数年分程度の実測流量資料しか入手できないのが現状である。そこで下流本川の流量観測所から補間することが必要となるが、通常これには流域比が用いられていた。比流量は流域が小さくなる程大きくなるが、この手法を用いるとダムサイトでの補間された流量資料は実測に比べ、小さめな値となる。又流出のしかたは季節によっても異なり(例えば融雪出水と降雨による出水)、比流量も季節により変動する。多目的ダム計画理論は現在では簡単なマスカーブ法からDPを導入した高度なものまで確立されているが、いずれをみても流量資料との精度上のアンバランスは認めざるを得ない。一方マスカーブ法等により貯水池利用計画が立てられ、ある安全率をもってダム管理が行なわれているが、このとき下流各取水地点の流況の観測態勢を万全にしておかないと、所要の安全率で利水できない場合が生ずる。このような現状をふまえ、日流量資料の補間手法、貯水池計画の一般的ことがらの再確認、利水計画の安全率に対する検討等について、小樽内ダム利水計画作成の過程で検討したものをここに報告する。 |