農用地開発事業において、現在までに施工済の圃場暗渠の効果について、当初予定された効果が発揮されず、補修が必要な地域がでている。現在報告されている地域は稚内・釧路・帯広の一部ではあるが、所によっては営農にも支障をきたしている。このような状況より開発局も重要な問題としてとりあげ、暗渠の不良原因と対策を究明するため、既設暗渠の実態調査を中心に昭和51年~53年まで、3ヶ年を目途に調査を始めた。暗渠の設計、施工法については、現在まで各種の調査、研究がなされ、成果が報告されているが、農用地圃場のような未墾地に対する調査、研究はほとんどなく、これらの農用地圃場等に対する設計、施工法については、従来の既耕地での方法で設計・施工されている事例が多いようである。未墾地暗渠の問題点を列記すると。イ)未墾地であり、また、大型機械による圃場造成なので、圃場特性の把握が十分に出来ず、暗渠配線も難しく、造成後の土質特性も変化する。ロ)未墾地の中でも圃場条件の劣悪な地域が多くなっており、また、圃場周囲の排水条件も大面積を急速に施工するためと、圃場環境(背水・伏流水等)も悪い地域が多いため排水不良をきたす場合が多い。このように未墾地の設計、施工基準の早期確定は急務を要する。今回の報告は、「暗渠実態調査」の結果により、既設暗渠の実態と土壌の透水性と地下水位について報告する。 |