砂質海岸に流出する河川の河口付近における地形変化に影響を与える要因としては、河川、海岸の水理量、底質特性などがある。これらが相互に複雑な作用をして、河口の偏流、あるいは埋没・閉塞など、河口は複雑な変化を示し河川の改修、維持、管理面などに多くの問題を投げかけている。河口閉塞に関する研究は従来から行われているが、閉塞に至る機構が複雑で、とくに、模型実験結果を現地海浜に適用させる手法が確立されておらず、その研究の多くは、二次元実験水路における河口付近の砂州形成に関する物理的側面の顕著なものに留まっている。河口における漂砂量の変動は、その水理現象が複雑であることから、現象の本質を的確に把握することが極めて困難である。模型実験においても、例えば、海水と河川水の比重差を考慮することができないなど模型と現地の相似性を得ることが容易ではない。そこで、河口形状を単純化した三次元移動床模型によって、底質材料に海砂と軽量骨材(以下メサライトと称する。)を用いた50年、51年の実験について、さらに検討を加え、今年度、現地において観測した河口データと合わせて解析考察したものを前2報に引続き報告するものである。しかし、現実における河口における現象は複雑で、これを物理的には扱いにくい。したがって、河口付近に働く諸々の要因を物理的に究明したものとは異なり、河口の閉塞状態と諸因子の関係をマクロに捉える、統計学的解析法によって考察を進めており、定量的にアプローチしていることが特徴となっている。 |