| 北海道に建設されている多目的ダムにおける冬季間の問題点の一つとして、外気に直接影響を受ける放流設備が凍結され操作不能の状態となることが上げられる。このようなことから各ダムでは種々検討しているところであるが、現在のところ十分な効果と経済性を具備した凍結防止方法を見出すことは難しいとされている。この実態より本試験は、現在未だ未策といって良いクレストゲート戸当り部の凍結防止方法についての検討を行い効果的で経済性に富んだ装置の開発を目的とするもので、昭和51年度に戸当り内部鋼管を埋設してある石狩川開発建設部、豊平峡ダムにおいて低粘度オイルを加熱循環させ戸当り部表面の温度上昇計るオイルヒーティング試験を実施しており、昇温効果および経済性については良好な結果が認められた。しかし、当ダムクレストゲートに敷設してある埋設管の圧力試験を実施した結果、気密度の低下しているものが多く、オイルが流出した場合貯水池を汚染することとなるので、当ダムにおいてのオイルヒーティング法は、ダム管理上不適当と考えられた。この結果から今回の試験は、比熱が低いうえ圧縮性流体で熱媒体として用いるには非常に難しいものであるが流出無害で補給源に必配のない空気を閉回路で加熱循環させる方法によっての試験を実施し、可能性について検討を加えたものである。 |
