能取漁港はオホーツク海に面した感潮湖に大規模な施設を有する水産基地を建設することで、その完成が期待されてきた。昭和45年度に建設の第1歩がしるされて以来、各施設の整備も逐次進捗して、去る昭和49年4月には能取湖とオホーツク海を有機的に機能せしめるため、湖口部海浜を人工的に開削した。この水路で特徴的なことは、外海と内水面を狭口で結合することから外海の潮位変動に伴う交番流(潮流)が発生することで、この交番流は水路底土砂を掃流して漂砂による水路の埋没を防ぐ作用を持つ一方では、潮流が波浪と干渉して航路部の波高増大をもたらし漁船の入出港を困難にさせるなどの二律背反する現象を内包している。これらの水埋現象や漂砂の実態を把握し、以って将来の適性な利用目的に対処するため、開削後も継続して各種の現地調査を行なってきた。それらの総まとめとして、今年度は過去に行なわれた主として流況の再確認と共に湖内外の水位差を厳密に測定し、潮流・潮汐の調和常数を用いて現況と将来計画断面に対する潮流シュミレーションを実施した。着工時より湖口部開削までの調査内容と、その後、若干の期間の水埋現象と地形変化等についてはこれまでにも1)報告しているので省略することとし、本文では、主に昭和51~52年にかけて調査した湖口部の地形、潮汐、潮流並びに潮流シュミレーションについて概要を述べ、併せて湖口部の将来計画についてふれる。 |