大津漁港は、十勝沿岸の十勝川河口の南西約4㎞に位置する第4種漁港で、本港は沿岸漁業の根拠地として、昭和27年第1種漁港に指定されながら未着工のまま放置され、昭和44年の第4種漁港の指定を受けた翌45年に着工したものであるが、未だ漁船の利用に至っていない工事途上の漁港である。本港の整備計画は、背後が湿原地帯であることから、内陸部に係留施設を造成する掘込式の港を計画しているものである。本港は、十勝港と共に太平洋沿岸特有のうねり性の高波浪の影響を大きく受けて、凪日数が非常に少なく、海上工事の施工日数が大幅な制約を受ける海域であり、したがって、このような海象下においても施工が可能である捨ブロック式傾斜堤を陸上からの捲出方法によって現在まで、北防波堤420m、南防波堤460mを実施してきたものであるが、防波堤の延長に伴って水深を増加して、陸上からの施工が限界にきており海上作業への切替が必要となっている。一方、地元の漁船は依然として、前浜から危険にさらされ乍ら出漁している現状で出漁日数も大幅に制約され、又、再三に亘って遭難事故が発生しており、漁港の早期利用を強く要請されている。最近ではNHK放送が、大津浜の現況を取材し「おかまわりの女達」「浜に生きる」「あきあじ漁の浜」と3回に亘り放映して、港のない浜のきびしさを切実に訴えており、工事の施工面からと地元漁民の要望に応えるべく、外郭施設は未だ不充分ではあるが、今後、3ヶ年を目途に一部利用出来るよう重点的に整備することとなったもので、52年度はこの計画の初年度として、北防波堤の延長工事を鋼製ケーソン式工法により着工したものである。この方法は、太平洋岸に面した小漁港でもすでに採用し、施工しているもので、新しい工法と言えないが、国直轄の工事としては最初の工法と思われるので、現在、工事の施工途中で資料不足ではあるが、この工法の設計及び施工、特に施工面を主にとりまとめて報告するものである。 |