函館港豊川地区岸壁(-5.0m)は漁船の大型化に対処するとともに、魚市場機能の増進を計るべく施設用地拡張の必要性から既設物揚場(-4.0m)から60m前面に計画されている。岸壁工事は昭和48年に着手され、昭和50年度までに岸壁120m、港湾施設用地6.100m2造成された。昭和51年度を初年度とする第5次5ヶ年計画では、残工事の岸壁220mと港湾施設用地9.900m2が計画されており、現在鋭意施工中のものである。豊川地区の基礎基盤では-4.5mから-45.0mの深さまでN値0~5の泥土、粘土貭シルト、または粘土が厚く推積した沖積世層の超軟弱地盤であって、その強度(粘着力)Cは0.15z程度にすぎない。したがって、このような地盤に対応するための岸壁構造として、当初本体を直杭横さん橋構造とし、背後の港湾施設用地は地盤改良を行なわずに沈下に対しては嵩上げの措置をとることにしていた。しかし昭和50年度までに完成した港湾施設用地の沈下が予想より早く、現5次計画の施工区域については不等沈下による構造的支障と利用上の支障をきたすと考えられ、構造に対する再検討の結果、港湾施設用地についてはサンドドレーン工法による地盤改良を行ない早期に圧密沈下を促進して残留沈下量を大幅に減らすことにした。岸壁提体は港湾施設用地との急激な不等沈下に対し、できる限り一体となって対応できる安全でかつ経済的な利用上支障のない構造とする必要がある。即ち基礎部分は安定上から強制置換工法3)を、本体は二重矢板式工法を採用することに決定された。本文は岸壁本体基礎地盤の強制置換に対する周辺粘性土の土性変化について、以後2回の土質調査の結果計画通りの改良結果を得たと判断しているので、ここに強制置換工法の設計施工の概要とその問題点、および改良結果について述べたものである。 |