近年における油圧機器の発達は産業機械にも広汎に採り入れられ、作業装置のみならず走行系の動力伝達装置に多く採用されている。北海道開発局で使用しているロータリ除雪車のうち、日本除雪機HTR-301C型も全油圧機構のロータリ除雪機であり、速度制御範囲が広く、そのスムーズな運転性能と効率の良い除雪性能は評価されているところである。しかし、本機種の走行油圧系統におけるトラブルがしばしば発生しているところから、建設機械工作所においても、その原因調査と対策を実施してきたところである。たとえば、作動油の異状高温現象を防ぐため、油圧回路にフラッシングバブルを設置し、作動油の循環を良くする。また、補給ポンプの吸入圧力の上昇によるキャピテーションの発生を防ぐため、サクションパイプの径を大きくする。 さらに、作動油への異物の浸入を防ぐため、組立時でのフラッシングを完全に行うなどである。本試験はこれらの対策事項をより補完するために、回送走行時の油圧機構各部の油過及び油圧を測定したものであり、その結果についてほうこくする。なお、本試験は比較検討ができるように、冬期(寒冷期)におけるHTR-301C型及びHTR-302型の両機種について実施し、さらに夏期(高温時)においてもHTR-301C型についてそれぞれ、ほぼ同じ要領で実施した。 |