全ての岩石が、凍結融解作用を繰り返し受ければ、岩質の劣化を生じ、そのさまぎまな強度が低減してゆく。このことはまぎれもない事実であるが、あらゆる岩石を対象に考えた場合、たとえ凍結融解条件が同一であつたとしても、岩石名や岩質による差は非常に大きい。また凍結融解作用の影響度を、何を指標にして表すか、ということも重要であり、充分検討されなければならない。凍結融解作用による岩質の劣化を超音波伝播速度や重量の減少百分率を指標として表し、岩石名や岩質による特徴を明らかにした研究がすでに幾つか報告されているが、数は極めて少なく、岩石名や産地も非常に限定されている。一方、コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性の研究は岩石に比較したら、はるかに多くかつ詳細である。そしてコンクリートの劣化を表す指標としては、相対動弾性係数、耐久性指数と重量の減少率が使用されている場合が多い。いずれの報文も、凍結融解作用による強度の減少を間接的には充分想像させ得るが、いかなる比率で減少するのか、強度そのものでは明らかにされていない。自然界に存在する岩石は多種多様であり、単純な問題でないことを認識しつつも、凍結融解のサイクル数と強度の低減率の関係を室内試験から推定してみた。以下に現在までの試験結果を照査し、凍結融解作用による岩石の強度低減率を一軸圧縮強度および超音波縦波伝播速度を指標として述べる。 |