軟弱地盤上における橋台は、背面盛土の施工にともない時々変状をきたす事例が見受けられる。これらの原因として当初の設計では予測しがたい流動圧が基礎ぐいに作用することが考えられる。従来このような流動圧に対する実設計上の考え方としては、縦断方向のすペりの安全率を判定根拠とし、流動圧を設計上まったく考慮しないか、考慮する場合は橋台基礎ぐいに直接作用させず、パイルスラブ等の背面処理工法によって処理するのが-般的となっている。しかし、背面処理工法については採用の判定基準および設計法など未解決の部分も多く、実設計上大きな隘路となっているのが実情である。また、すべりの安全率から流動圧考慮の必要性がないと判断した場合でも橋台基礎ぐいの安定性が問題となることも確認されている。本調査研究は、これらの問題点を検討し軟弱地盤上における橋台基礎ぐいおよび背面処理工法の合理的な設計法の確立に資することを目的として、51年度から継続実施しているものであり、今年度はその最終年度にあたる。過去2年間の調査研究では、主に、盛土の施工にともない基礎ぐいに加わる流動圧について検討を進わてきたが、今年度は、これまでの結果を踏まえ軟弱地盤上の橋台基礎ぐいの設計に対する基本的な考え方、それにもとづく判定手法、および流動圧が作用した場合の橋台基礎ぐいの安定性におよぽす影響について検討を加えた。なお、橋台背面処理工法すなわちパイルスラブ、サンドパイル等の採択基準および設計法については、処理工法に関する調査結果が皆無に等しく、今回一連の調査研究を通じ言及しえなかった。 |