河川砂防技術基準における総合河川計画の考え方、三全総の定住構想達成のための水系の総合的管理の必要性の強調、都市河川における総合治水対策事業の実施等にみられるように、近年、国土保全施設の整備と国土利用の進展との間の不均衝について、多くの議論がなされており、その対策を講じようとしている。道内においても1部の都市河川では開発の急速な進展、浸水予想区域への人口、資産の拡大等によって治水上の問題を生じてきている現況である。また、道内の他の河川においても長期的視野から望ましい流域開発と河川のあり方について、認識を再確認することは重要である。このため、本課題は流域の現況、開発計画等について、あらためて情報を整理、分析し、流域の特性に応じた適切な河川計画のあり方、及び河川の特性に応じた適切な流域計画のあり方について考察を加えることにより、流域管理のための先導的な資料を得ようとするものである。調査研究は53年度より3ヵ年の計画で実施する。53年度は流域の現況に関する実態調査、将来計画の調査を重点とし、54年度はそれらの調査結果を分析し、河川計画上からみた問題点の検討に重点をおいて研究を進めるとともに、必要に応じて補足的な調査、とくに流域における将来計画の調査分析を行うこととする。最終年度である55年度には、2ヵ年の調査及び解析結果をもとに、流域開発に対する河川側からの提言及び対応策としての河川計画のあり方を構想として考察し、とりまとめることとしている。今年度は、初年度として流域の自然的状況、土地利用関係の法則上の指定状況、人口、土地利用実態、経済活動の実態等について、過去からの推移を含めて情報を海域毎に収集整理するとともに、過去の洪水状況と河道改修の歴史をとりまとめた。これらの分析は54年度に行うことを考えており、今年度は全道的にみた場合のマクロな考察のみを行った。今後は、調査した情報をもとに流域毎にさらに流域の状況を分析し、将来計画の調査をも行って、河川からみた問題点の検討をひきつづき実施していく予定である。 |