近年、人口と産業の都市集中は、必然的に揚水量が増加し、地下水位の低下、地盤沈下、地下水々質の悪化などの弊害があらわれてきている。札幌市の主要部は、豊平川扇状地に位置している関係で地下水にはきわめて恵まれ、地盤も優秀である。これらの好条件下にある豊平川扇状地は、優れた地下ダム的構造を形成しており、推積物を地下貯水槽とすると約3億トンの貯水量を有していることからも優れた地下ダムといえる。しかし、札幌市の発展が続く場合において、地下水の揚水量が増加することは明白である。これに伴って、年々地下水位低下が進行しており、札幌市北西部においては3年間(昭和48年~51年)で18cmも地盤沈下が進行したことなどから札幌市においても地下水障害(地下水位低下、地盤沈下、地下水々質の悪化など)が発生してきている。これらの障害を早期に最小限に食い止めるためにも、「地下水は公共性のある資源である。」という観点にたち、地下水を利用するにあたっては、調査・管理・利用を充実することが望まれている。そのため、豊平川の河川水位と豊平川扇状地の地下水位、揚水量、降水量などの相関関係を知ることが必要となってくる。ここでは、豊平川扇状地における昭和49年から昭和52年まで10ヵ所の地下水観測所の地下水位、豊平川水位、降水量等の資料を整理した。特に今年度は、豊平川水位と地下水位の相関関係について調査した結果を中間報告する。 |