この調査は、石狩川流域14400Km2における、主として農業利水の現況と、将来のあり方を計画するための、基礎諸元である①水源流量、②気象資料、③土地利用現況、④水理現況、について、実測ならびに関係機関からの資料収集を行い、検討解析を加えた上で、第二次水需給を策定し、(新水源位置を概定)当時の高度成長時代の要請に答えるべく、大ブロック別に、地域開発の緊急性の多い順より予備調査に反映させながら、地区調査を出発させ、今日の農業用用排水事業につなげてきた。この調査は、一般的な土地改良事業が行われるパターン、地区計画→全体実施設計→事業実施と云う特定されたブロックの用排水改良に焦点をあわせた、組織縦系列によるチーフ、スタッフ形式の調査とは異り、巾広く横系列のプロジェクト形式によって、現況調査を継続する中から、調査の基本方針自体を改変創設しつつ、かつ、必要とする事業の創出を行うと云うものであり、地区調査を子を生み育てる苦労に例えれば、この調査は、その子を生む男女を見つけ、派生する問題におりあいをつけ、程々に娶らせる苦労に似ている感がある。したがって、この調査がすでに15年の歳月と延員数272人(実員109人)の調査員をついやしてきた重要な調査で、しかも多大な成果(◎46の地区調査の創出、◎S46年度 慣習 石狩川水系3分作 ①農業の動向と新展開、②農業水利と開発作業、③気象と水文、④関係付図、基礎資料)を上げているにもかかわらず、これにたずさわった調査員周辺と、局農業調査課土地改良計画筋を除いて、組織内の農業部門関係者においても、その存在すら理解されていない事があるのは残念である。 これは当方のPR不足もあり、又一定成果の取まとめにおいても地域が広域にわたるため5年10年の期間を要し、この種の調査は成果あって始めて発言ができる宿命にある事に起因するものと考える。しかし今回、あえて調査経過を報告し、現在の調査方向と内容及び肯定を申し上げるのは、近い将来(S55~56)において、石狩川流域に存在する25万haにおよぶ農地及び農用地開発可能地の、第3次水系開発とも云うべき、土地利用計画と水需要計画を立てる上で、組織内、外からの「新しい発想」「提言」「助言」「協力」をいただき、更に、全局的な叡知を結集して、実現可能な計画にしあげたいものと思うからであります。又55年度中に整理される予定の現況資料を玩味する中から新しい方向の事業の創設を図りたいものと願っております。 |