古くから、治水は行政上重要な問題であった。水不足が叫ばれ、利水が重要視されるようになってきている現在においても、治水の重要性には何等変わりがない。北海道においても明治以来、治水には力が注がれ、現在では、道内の直轄河川堤防はほぼ連続したものとなってきている。しかし、同時に、流域の開発が進むにつれて河川周辺の国民資産額が増大し、そのため洪水被害額が増大していることもまた事実である。したがって、現在、堤防の安全度の向上は、河川行政において重要性を増しつつある。堤防の安全度およびその評価方法については、北海道開発局としても、すでに、土質工学的な立場から、全道的な規模で調査検討を行ない、種々の解析の上での仮定の妥当性に関する検証など、いくつかの問題について検証の予知が残されているが、一応の成果を得ている。しかし、堤防の安全度の評価法については、上記のような土質工学的な立場からの検討のほかに経験的な判断にもとづく吟味も、同時に必要と考える。この報告は、堤防の総合的安全度評価方法の確立のための作業の一環として、上記のような判断のもとに、統計的手法のひとつである一対比較法を応用することを考え、各建設部の河川技術者を対象としてアンケート調査を行なって集計したデータを用いて検討した結果をとりまとめたものである。 |