十勝川の治水事業は大正12年に始まり、本格的な河川改修事業が進められてから約60年を迎えようとしているが、着手当時から近年に至る主な工事は洪水防御が中心であり、流域中、最も被害の著しく、かつ開拓の中心地域から堤防の築造が始まり、統内新水路、利別、牛首別、途別、帯広川等各支川のショートカット、千代田堰堤、十勝大橋をはじめ、護岸、樋門、排水機場等が施工されてきた。これらの治水事業は本来、河川自身の問題ではなく、その地域に住む人々の社会生活の問題解決の手段であり、治水事業と密接な関係にある地域計画と整合を計り、全体としての社会的機能を維持していくのが本来の使命であることはいうまでもない。十勝川の流量改訂に伴う計画高水の増に対し、河道計画としては、計画高水流量を安全に低下させるための流下能力確保はもちろん、過去の改修に対する河川の変化、将来のダム建設という変化に対して考慮する必要がある。又、近年の河川利用に対する社会の高まり、水産事業と河川のかかわりなど、河道計画を策定する上での配慮が必要である。このための調査として、①河川の状況把握、②流域の自然的、社会的条件の調査結果の概要と河道計画上重要と考えられる2~3項目についての検討概要を報告する。 |