流域の急速な開発・発展は、降雨流出を増量かつ尖鋭化させ、河川への負担を増加させるとともに、治水経済上より高い安全度での整備を重要化させている。さらに、最近は河川災害に対する審判はきびしい情勢にあり、新たな観点から改修計画が検討されることを必要としている。石狩川下流部は、石狩湾新港の建設が本格化しており、札幌市の北部への著しい発展と相まって、沿川地域の重要度は今後急速に高まることが予測される、一方、上流での改修工事の進捗はこれまで経験しない負担を下流部にもたらし、安定な河道設計とその実施が急がれるところである。河口から14kmの区間は、弯曲・急縮・急拡・河口・高水敷植生など、数値解析のみでは解明の困難な問題点をかかえており、水理模型実験による検討を必要としている区間である。しかし、この区間は堤々間1kmを越える区間を含んでいること、および緩勾配であることや問題点の性格上、大縮尺・無歪模型による実験が必要とされることから、従来の施設では実施が不可能であった。ここに、昭和51年度に着工された石狩実験場の第一期施設設備工事が昭和53年度にほぼ完成したので、その最初の課題として上記区間の実験に着手している。ここでは、昭和54年度に実施した実験を中心とした実験の経過について報告する。 |