道南の後志利別川に建設される多目的ダムは、1部がフィルタイプの複合式ダムで建設施工計画が進められている。このダムのコア用土の採取予定地は、後志利別川支流ピリカベツ川左岸、標高150m~185mの東西に連なる尾根筋の北側斜面に位置する段丘堆積土である。この採取予定地における土質材料の特性は、自然含水比が高く、また細粒分の多いものである。このような特性をもつ土質は一般にこね返しや締固めなどの外力によって、土中の拘束水が自由化し、土性が軟弱化するために、土の強度が低下して建設機械のトラフィカビリティーの確保が困難になることがある。またダムの安定性にも問題の多いことが予想される。一般にフィルダムのコア用土として具備すべき条件は、1)所要の遮水性が得られること。2)バイピングに対して抵抗性があること。3)堤体の安定のため、密度やセン断強さが大きいこと。4)ダムの安定に支障をおよぼすような膨張、あるいは収縮性のないこと。5)過剰間ゲキ圧の発生が少ないこと。などが挙げられる。これらの条件のうち(1)、(2)の遮水性や、パイピングに対しては所要の条件は得られるが、その他の条件に対しては、好ましくないと予想される土質材料である。このような特性をもつ土質材料の一般的な改良法は次のようなものがある。1)太陽熱と風を利用した改良方法。2)火力を利用した改良法。3)生石灰添加処理法。これらの改良法は含水比の低下をねらったものであるが。自然含水比が最適含水比よりも非常に高い高含水比粘性土においては、フィルダムの場合、工期は経済性などの点から実用的とはいえず、このような粘性土については砂レキ混合による改良法が一般的に用いられる。今回、砂レキ混合による土の工学的性質の変化についての諸試験を行ない、2,3の知見を得たので報告する。 |