風連湖は根室湾のほぼ中央部に位置し、周囲64.5km、面積約50.4km2の東西に細長い内湾である。この湖は元海兵であった所が沈降し、その後砂洲が発達して生まれた湖で、東と西の二つの湖盆からなる。湖口は東の湖盆のほぼ中央部にあり、平均水深5.4m、通水断面積2,300m2である、湖内の水深は湖口附近の幅300m位のみお筋で6~11m、東西の湖盆を結ぶ水道部で最大5.1m(平均水深2.4m)、湖奥のみお筋で4~5mである。これらのみお筋を除いた水域は深い所でもほとんど1~2mで、アマモ類が密生し、干潮時には大部分干あがる。湖内の夏期の水温は湖口域で低く、湖奥にいくに従い高くなる。一方ヤウシベツ川、風連川、別当賀川などの小河川が湖内に流入しているため、塩分は湖口部で高く、湖奥部にかけて漸減している。底質は湖口およびみお筋付近が粗砂であるほかは大部分腐植性の泥質である。湖内の水産資源は汽水性のシジミを除いてすべて海産性で、その主なものはしろざけ、わかさぎ、にしん、ちか、こまい、ほっかいえび、あさりなどである。総漁獲量は昭和52年度で487トン、生産金額119百万円で、このうち大部分は魚類生産である。前述のとおり風連湖は浅い閉鎖性の内湾で、外海水との海水交流・交換は不活発で、その水産的利用度は低い。このため、北海道開発局は54年度からこの地区の漁場生産環境等の調査と合せて、最近の水産増養殖技術および漁場造成技術の導入をはかり、風連湖の水産資源の増産を推進しようとしている。そのために現在の風連湖に関する海水交流・交換、すなわち現在の湖口水路を通して一潮汐間に流出入する水量、湖内の流れ環境、水温分布、塩分分布などを明らかにし、さらに風連湖の生産性を向上させるための可能な漁場開発方式について検討する必要がある。著者らは昭和54年6月に風連湖内で行われた潮汐、潮流、水温、塩分および河川流拡散調査データを整理、解析し、それをもとに湖内の潮汐、流況を推算する簡易モデルを作製した。されにそのモデルを用い現在の水理現象および湖奥開削後の海水交流を推定した。その結果、これまでほとんど調べられていなかった湖内の水理についていくつかの結果が得られたので報告する。 |