近年、各種産業の発展・開発とともに、大径ワイヤロープの需要は増大している。最近の工事要請は、その工事の大規模化にともなって、建設機械および作業船は大型となり、ジブ支持用の大径バックステーワイヤを使用している設備がきわめて多い。ワイヤロープを使用目的により動索と静索に分類してみると、動索の深傷技術は比較的普及されているが、静索は動索に比べて遅れている。ここでは、バックステーワイヤのような静索の管理技術について知見を得たのでその考察について報告する。超重機船「たいせつ号」は直径60mmのバックステーワイヤを使用している。たいせつ号は昭和42年6月建造、室蘭開発建設部に配置され、以来10余年特定重要港湾である室蘭港の防波堤建設工事に従事し、港湾工事の花形として活躍している。従来ワイヤロープの寿命すなわち取替時期については、それらの使用条件ならびに使用日数の実績にもとずいて判定している。しかし、大径バックステーワイヤの使用は歴史も浅く、取替基準・施工法等の文献、実績も少なくまた多額の費用を要するため、簡単に取替時期を判定することが困難であった。ここに、たいせつ号のバックステーワイヤの使用状況ならびに取替の概要を紹介し、その取替時期の判定方法に関する検討結果について報告するとともに、バックステーワイヤの取替え基準について、提案する。 |