家畜ふん尿の処理方法の1つとしてメタン発酵(嫌気性発酵)を利用したバイオガスシステムがある。著者らはこれまで、特別研究「積雪寒冷地における環境・資源循環プロジェクト」の一課題として、湧別資源循環試験施設(以下では、湧別プラントと略記する)でのエネルギー収支を調査し、その結果をもとにしてバイオガスプラントのエネルギー収支シミュレーションプログラムを開発した 。このプログラムは、殺菌温度設定、受け入れ原料の量・性状(原料ふん尿の前処理としての固液分離の要否)、発電機やボイラーといったエネルギー変換機器の構成や容量などの各種条件や毎時の外気温を入力し、年間のエネルギー収支を計算するものである。つまり、プログラム作成のもととなるデータは湧別プラントのものであるが、湧別プラントと異なる機器・装置構成のプラントを想定したシミュレーションが可能である。本報告では、開発したシミュレーションプログラムを用いて、小規模共同利用型メタン発酵施設においてエネルギー自給率が高く、なおかつ運営経費を抑えられる運転方法を検討した。お、この報告は、平成17年度農業土木学会資源循環研究部会研究発表会での発表内容を要約したものであることを付記する。 |