化石燃料中心の消費社会に替わるエネルギーシステムが求められている中で、バイオマス等の代替エネルギー資源の開発とともにエネルギーの効率的利用を図ることも重要な課題である。水素はバイオマス等の非化石資源からも製造可能であり、水素・燃料電池システムはその優れた効率性と環境性から、次世代を担う分散型エネルギーシステムとして注目されている。独立行政法人北海道開発土木研究所では、平成12年より野付郡別海町にて積雪寒冷地における乳牛ふん尿の嫌気性発酵処理技術やバイオガスによる発電と熱供給技術(共同利用型バイオガスプラント) の実証研究を行っており、平成15年からはそのバイオガスの一部を導入して、水素を製造し、水素貯蔵及び再生・燃料電池発電を行う一連システムの実証研究(特別研究「地球温暖化対策に資するエネルギー地域自立型実証研究」を行っている。北海道の大規模酪農地帯に豊富に賦存する家畜ふん尿より発生するバイオガスから水素を製造することで、バイオエネルギー利用の効率性、利便性を向上させ、全体として環境にやさしい有効なエネルギー利用を図ることができるものと期待される。本報では上記特別研究の実証プラント:エネルギー地域自立型実証実験施設(水素化プラント)における運転実験結果と取得されたデータを基礎に、実用化プラント施設を想定した共同利用型バイオガスプラントと水素化プラントの一体化施設の水素製造量等の試算について報告する。 |