北海道のような積雪寒冷地では、冬期の積雪や路面の凍結により、冬期歩行者空間のモビリティが著しく低下する。このような中、冬期歩道の凍結路面対策として様々な対策や試みが進められている。この中で、道路管理者が実施する最も有効な対策としてロードヒーティングが挙げられる。しかし、昨今の厳しい財政事情等から、車道も含めロードヒーティングの稼働延長は年々制限を加えられてきており、過度な財政負担を強いられない適切な冬期路面管理手法が求められている。車道に関しては、冬期路面管理手法についてその指針案をとりまとめたものはあるが、歩道に関しては、除排雪による歩行幅の確保、凍結防止剤(塩化物系等)やすべり止め材(砕石、焼砂等)の散布といった対策効果について詳細かつ定量的な評価が行われておらず、冬期歩道路面管理手法に関する指針等は未整備である。本研究では、冬期歩行者空間における各種対策による効果を定量的に把握し、今後の適切な路面管理水準のあり方を提案するため、歩道ユーザーの挙動に加えて雪氷路面のすべり摩擦係数と主観に基づいた冬期歩行者空間の評価指標について検討することとした。本調査のための実験は、積雪寒冷地特有の問題や課題について幅広く情報・意見交換する場として開催された市民参加型のイベントである「2005 ふゆトピア・フェアin 旭川」において実施した。本文では、この調査の概要とその主な結果について述べることとする。 |